FC2ブログ

キュリアと謙次 さんじゅうさんかいめ!

 謙次の服と食品を買って、キュリアたちはトランズ島に戻ってきました。
 なお、この世界の服は、謙次の元いた世界の日本にある服とだいたい同じでした。ごく一般的な洋服です。
「さて、それじゃあ俺はそろそろ帰るかな」
 ガイが言いました。
「あれ? ガイ、もう帰っちゃうの?」
 そうキュリアが訊くと、
「ああ。今日はお前と戦うためにきただけだからな。どうせお前ら、今からそのゲームで遊ぶんだろ?」
 ガイは謙次が手に持っているゲームを指さして言いました。
 キュリアは、
「まあ、そうなるね」
 と答えます。するとガイはこう言いました。
「それならなおさら俺は帰るぜ。そろそろ『仕事場』で生活費を稼がないとな」
「『仕事場』?」
 謙次がガイに尋ねます。ガイは説明します。
「ああ。国際なんとかセンターとかいうのが正式名称だが、その通称が『仕事場』だ。いろいろな依頼を取り扱っている場所さ。その依頼を俺たちが受け、解決する。その代わりに俺たちは依頼報酬をもらえる、というところさ」
 なるほど。今大人気のゲームにある集会所みたいなところですね。それにしてもガイ、国際なんとかセンターって、正式名称言おうとするなら、ちゃんと覚えてなよ。
(作者:ちなみに『仕事場』の正式名称は、『国際依頼取扱センター』です。まあ、この話では出てきませんけどね)
 ……じゃあなぜ正式名称考えたし。
(作者:だって、『仕事場』って、なんの仕事をする場所なのか分かりにくくない?)
 じゃあ仕事場じゃなきゃいいじゃん。……まあいいか。
 キュリアは補足説明します。
「ちなみに、依頼を受ける人は、依頼内容に書かれた受理条件を満たせば誰でもいいよ。だから、ガイは依頼をよく受けるけど、『仕事場』の職員とかじゃないんだよ」
 ガイがさらに補足説明します。補足の補足ですね。
「『仕事場』の職員は、受付とか情報管理とかする人だからな。初めての人でも問題なく依頼を受けることはできるんだ。……もちろん、依頼の受理条件に当てはまればの話だが」
「へえ」
 いろいろと詳しく教えてくれたのに、その一言で謙次は済ませました。
 普通ならちょっとムカッと来るところでしょうが、ガイは気にしない様子で、
「じゃあそんなわけで、またなキュリア。そして謙次」
 ガイはそう言って、滞空魔法の『ホワールウィンド』で空中に浮きます。
「うん! またね、ガイ!」
 キュリアは手を振って言いました。謙次も手を振るぐらいはしました。
 ガイはそのままどこかに飛んで行きました。ガイが見えなくなってから、キュリアは言いました。
「それじゃあ謙次、さっそくさっき買ったゲームをやってみようか?」
「ああ、そうだな」
 謙次はそう答え、キュリアと一緒に家に入っていきました。
スポンサーサイト



リンク追加~

 おっと、キュリアと謙次の更新は今日ではないですよ。
 KOKOの一員であるTOHOさんがプレトノイヴァのメモリオンというサイトを設立したので、リンクしておきました。ドラえもん好きの方は必見です!(多分)

キュリアと謙次 さんじゅうにかいめ!

↓ ただいま2:06。遅れてすみませんm(_ _)m ↓


 キュリアと謙次は、昨日訪れたスーパーに着きました。
「一応目的は、謙次の服とご飯なんだけど、4階のゲーム売り場を見ていこうか?」
 キュリアが訊きました。謙次は、
「ああ、いいよ」
 と答えました。キュリアの家には小さな女の子がやるようなゲームしか置いてないですしね。謙次も自分好みのゲームを買ってほしいでしょうね。
 まあ、ゲームをやらなくていいなら買ってもらう必要もないわけですけど、キュリアは無理やりゲームをやろうとしますし、しょうがないでしょう。
 エスカレーターを上がり、4階に着きました。ゲームコーナーは、4階の角の方にありました。
 ゲームコーナーに入って、謙次は置かれているゲームソフトを見ていきます。当然、どれも知らないゲームですし、ゲーム機も謙次の元いた世界にあったものとは全然別物です。
(そりゃあ異世界だもんな。俺の好きなシリーズがこの世界にあるわけないか)
 そう思っていると、キュリアに訊かれます。
「謙次はどんなゲームが好きなの? アクション? パズル?」
「え? ……俺はアクションかな。キュリアは?」
「私は特にこれと言ってないけど、しいていえばパズルかな。アクションやRPGはひとの家でしかやったことないし」
「そうなのか」
「うん。じゃあ謙次、好きなソフトを選びなよ。私が買ってあげるよ」
「え!? いいの!?」
 謙次の眼が光りました。キュリアは答えます。
「うん、いいよ。ただしマジシャンズのソフトじゃなきゃだめだよ」
「マジシャンズ?」
「ゲーム機の名前だよ。私、それしか持ってないから。何買うか決めたら言ってね」
「わかった。それじゃあここにあるアクションゲームをいろいろ見てから決めるよ」
 そう言って、謙次はアクションゲームのコーナーに移動しました。
 キュリアはゲームコーナーから一度出ました。周りを見ると、ガイがこちらに向かってきていました。
「おいおいキュリア、服と食い物を買いにきたんじゃなかったのか?」
「そのつもりだったけど、ついでに謙次が楽しめるゲームを買ってあげようかと思って」
「……まあ、お前の家にあるやつじゃ楽しめないだろうしな、しょうがないか」
 うんうん、しょうがないしょうがない。
「ところで……」
 ガイはまじめな口調でキュリアに言いました。
「『あの事』はまだ謙次に言っていないのか?」
「うん。……謙次のためにも言わない方がいいと思って」
 え? 『あの事』って一体何のことなの?
「そうか。……だがいずれバレるぞ? 第一お前、さっきのことを謙次になんて言い訳したんだ?」
 さっきのこと?
(作者:①赤髪のおっさんがいきなりキュリアを攻撃したこと。②赤髪のおっさんがキュリアを『ジェノサイド』と呼んだこと。③ガイがキュリアの代わりにおっさんの相手をしたこと)
 うーん、……じゃあ③で。
(作者:いや、これクイズとかじゃねえから! 3つとも正解だから!)
 ガイの問いに、キュリアは答えます。
「何も訊かれなかったよ」
「マジか。何か聞くだろ普通」
「そうだよね。私も不思議に思った。……それと、このことはいずれバレるけど、それでもまだ謙次に言いたくないんだ」
「……そうか」
 ガイがそう言ったときでした。
「キュリア、俺このゲームにしたいんだけど」
 謙次がゲームのパッケージを持ってきました。
「いいよ、じゃあレジに行って買ってくるよ」
 そう言って、キュリアは謙次の持つパッケージを手に、レジに向かいました。

キュリアと謙次 さんじゅういっかいめ!

 キュリアは謙次を連れて、昨日訪れたスーパーにやってきました。
 ここに来た目的は2つあります。1つは謙次のごはんを作るのに使う食材を買うことです。もう1つは謙次の服を買うことです。
 謙次の着る服は、現代世界からこの異世界に来た時に着ていた1着だけですから替えが無いんですよ。キュリアのタンスにあった服も、キュリアがいつも着ている青いミニスカ着物か、キュリアのパジャマぐらいしかなかったですしね。
(作者:つまり、キュリアの私服はこの着物しかないということですね、分かります)
 まず、あれが着物かどうかもあやしいけどな。下部分はパンツが見える見えないのギリギリのところで隠れているほどの短さだし。上はちゃんと長袖になっているんですけどねえ。
「モンスター王国が見えてきたよ。謙次、ガイ」
 キュリアが言いました。今の発言から分かる通り、ガイもついてきています。
 キュリアにボロ雑巾にされたガイですが、キュリア達の買い物についていきたいと言ったところ、キュリアに回復魔法をかけてもらうことができました。それで、今ここにいるわけです。
 このときガイは、とっとと体力を回復してもらい、苦しみから解放されたいがために、買い物に行きたいと言ったわけなんですけどね。なんでも言ってみるものですね。
 そんなこんなでモンスター王国が目の前に見えてきたときでした。キュリアは突然高度を下げました。
「うわっ!! いきなり何だよ、キュリア!!」
 キュリアに抱えられている謙次が驚いて言いました。しかしこの後、謙次はキュリアから何も聞くことなく、その理由を理解します。
 なんと、先ほどまでキュリアたちが飛んでいたところに、直径1mほどの火球が飛んできたのでした。
「な、何だよ、アレは……!!」
 謙次は顔を真っ青にして言いました。すると、
「ジェノサイド、今日が貴様の命日だ!」
 誰かの声が聞こえました。その声を発したのは、赤髪のおっさんでした。
 いきなり出てきて何かよくわけのわからないことを言うおっさんですが、おそらくこのおっさんが先ほどの火球を放ったのでしょう。
「キュリア、ここは俺に任せろ」
 ガイがそんなことを言って、キュリアをかばうように前に出ました。キュリアは、
「分かった。じゃあ私たちは先にスーパーに行ってるね」
 そう明るく返答しました。
「え? 一体これはどういう状況なんだ?」
 当たり前のように混乱する謙次。まあ、何の説明もなしにこんな状況になったら、普通混乱しますよね。
 キュリアの言葉に対し、ガイはうなずきました。それを見るや否や、キュリアはさっきよりも速いスピードでモンスター王国に飛んで行きました。
「待て、逃げる気か、ジェノサイド!!」
 おっさんが言いました。
「ジェノサイド?」
 謙次が疑問に思って、そうつぶやきました。
「まあ、あの人は見た感じ弱そうだから、ガイならすぐ戻ってくると思うよ」
 キュリアが言いました。なんかいろいろと訳が分からなさすぎて、謙次は、
「へえ」
 と言って、この件について何も訊こうとしませんでした。

キュリアと謙次 さんじゅっかいめ!

↓ 間違えて本文でなく、追記のところに書いてしまってた ↓


「誰かああああ!! 助けてくれええええええ!!!」
 『ダークドーム』の中、頭から落下しながら謙次は叫んでいました。そりゃあ叫びますよね。本当にこのまま誰からも助けてもらえなければ、謙次は死んじゃいますし。
 もちろん、主人公がこのまま死んだらこのお話が終わってしまいますので、キュリアが助けに来てくれました。
(作者:理由そこ!?)
 キュリアは謙次の体勢をさかさま状態から普通の状態に戻し、ゆっくりと地面に降りました。
「ごめんね、謙次」
 『ダークドーム』のせいでキュリアの顔は見えませんが、口調からしてキュリアは笑顔でそう言ったのだと思われます。
 謙次は呼吸を落ち着かせて、
「はぁ、はぁ、……一体何するんだよ、キュリア!!」
 そんな感じの言葉でキュリアを怒鳴りつけました。当然でしょう。だっていきなり空高いところから落とされるんですもの。
 そんな謙次に対し、キュリアは明るく答えました。
「だって、謙次はガイがグロくなってるところを見たがらないだろうなあ、って思ったから」
「それはそれで見たくねえけど、だからと言って俺を落とすなよ!! 殺す気か!?」
「殺す気って、そんな大げさな」
「大げさじゃねえよ!! 万が一死んだらどうするんだよ!!」
「いや、さすがに死なないから。あそこからなら余裕で間に合うし」
「……自信があるからと言ってやらないでくれよ。こっちは本当に怖いんだから」
「……そうだったの?」
 突然、キュリアの声が明るい声から悲しそうな声に変わりました。
「あ、当たり前だろ! だからもう……って、キュリア?」
 キュリアのいる方から女の子の鳴き声がします。どう考えてもキュリアの鳴き声ですね。やーい、謙次鳴かしたー。
「うう……、ぐすっ、ぐすっ、……ごめんね、……謙次」
「いや、えっと……あの……キュリア?」
 謙次は反応に困りました。謙次は今まで女の子を鳴かしたことなどないの……
(作者:おい、イノブン)
 なんだよ作者。
(作者:さっきからお前、ある1文字だけ漢字ミスしてるけど、そのせいで内容がひどいぞ? いい加減に気付けよ)
 え? どういうこと? 別に漢字ミスってないと思うんだけど。……まずワープロでやってるから、ミスらないだろ普通?
(作者:変換ミスというのを知らないのか? まあいい、おもしろいから放っておくか)
 ん? まあいいや。
「まあ、これから気をつけてくれればいいよ。だからそんなに泣くなよ、な?」
(作者:なお、登場人物のセリフは地の文でないので、作者が担当しています。だから今のセリフでは、イノブンが漢字のミスをせずに済んだとか、そういうのじゃないんです)
 よくわからないなあ。一体イノブンはどこを間違えているっていうんだよ?
(作者:今のセリフ、漢字はたった2文字しかないのになぜ分からないんだよ、イノブン)
 は? とりあえず、今の謙次のセリフに対してのキュリアの返答です。
「うん……、気をつける。だから、本当にごめんね、謙次」
「ああ、わかった! わかったよもういいよ!」
「本当!?」
 キュリアは声を高くして言いました。
「ああ、本当だ。もういいよ」
「ありがとう、謙次!! これからは本当に気をつけるよ!!」
 そんなことをキュリアは言いました。ああ、これであの年齢設定さえなければ、普通にかわいいと思えるんだけどなぁ。
(作者:おい、イノブン!!)
 え? ……あ!! やべえ!! 今の発言は、えーと、あの……
(作者:……どうやら今のはギリギリセーフだったみたいだな。今後はそういう発言をしないように気をつけろよ)
 ああ、命に関わるから気をつけるよ。
 と、そんなとき、『ダークドーム』が晴れてきました。さっきまでは暗かったので、川のせせらぎや鳥の泣き声がよく聞こえていました。
(作者:ここで今度は逆の漢字ミスか)
 徐々に黒い霧が晴れていきます。そして、すぐ近くに転がっていたガイのグロテスクボディも徐々に見えるようになってきました。

キュリアと謙次 にじゅうきゅうかいめ!

「うわっ!?」
 ダークドームの中で、ガイに向かってキュリアの『グレイヴスラッシャー』が飛んできました。
 『グレイヴスラッシャー』は引力をまとった黒い球体を放つ魔法です。油断しているとその魔法の引力で吸い込まれてしまいます。また、その球体の周りには真空波が発生しているため、球体に引き込まれたら真空波にズタズタに斬り裂かれ、本体の黒い球体で大ダメージを喰らってしまいます。
 周りが一切見えない真っ暗やみの中なので、『グレイヴスラッシャー』の引力に引き込まれやすい状況に思われます。しかしガイは、いままでに何度も『グレイヴスラッシャー』の直撃を喰らったことがあります。そのためガイは、『グレイヴスラッシャー』の引力をすぐに感じ取ることができ、避けることに成功しました。
(こっちは暗闇で周りが見えないってのに、容赦ねえなキュリア!!)
 このままダークドームの中にいると危険なので、ガイは能力を使い地面をけり、音速で上空に飛んで行きました。
 ガイは『ダークドーム』の範囲外まで飛び出すと、
「『ホワールウィンド』!!」
 という魔法を使いました。
 『ホワールウィンド』は風属性の滞空魔法です。ガイは風属性の魔法を基本的に使いません。しかし、滞空魔法はあるといろいろ便利だったりするので、ガイほど強い人なら覚えている人が多いです。なお、昨日マリエルが使った『ウィンド』も風属性の滞空魔法の一種です。
 ガイはとりあえず『ダークドーム』の中から抜け出せましたが、このままではキュリアがどこにいるか分かりません。ガイから攻撃を狙えない上に、キュリアからの攻撃がどこから飛んでくるか分かりません。
 そんなとき、ガイの足元に黒い気体がうず巻き始めました。
「うおっ!?」
 ガイはそれに気付き、今いた場所から離れました。ガイの足元でうず巻いていた黒い気体は、ガイが避けてからすぐに巨大な漆黒の竜巻になりました。
「『ブラックトルネード』か。そうなると次にキュリアが出してくる魔法は……」
 そのとき、ガイの肩を真っ赤な光線が貫いた。
「ぐあっ!?」
 この赤い光線はキュリアの魔法、『ブラッディレイ』です。ガイはキュリアがこれを出してくると予想していたのですが、この魔法は「光」です。予想していたとはいえ、光の速さで動くものをガイはかわすことができません。
(このままだと負ける!! でも俺はキュリアを狙えねえ! だったら……)
 ガイの周りに、パチンコ玉がたくさんあらわれました。
「狙わずに数で当てるまでだあ!!」
 その無数のパチンコ玉は一瞬で雷をまとい、ガイはパチンコ玉を『ダークドーム』めがけて弾きます。
 そのパチンコ玉は音速で『ダークドーム』に飛んでいき、すぐにものすごい轟音をたてました。
 音が鳴りやむと、しばらくの静寂が訪れました。
「はぁ、はぁ、はぁ、……やったか?」
「残念。一発も当たってないよ」
「な!?」
 後ろから声が聞こえたので、ガイは振り返ろうとしました。しかし、振り返ろうとしたら、後ろを見る前に、頬に思い切り顔面パンチを喰らいました。
「ぐあっ!?」
「まったく、無差別攻撃をするならもうちょっと考えて使いなよ。もしも謙次に当たったら困るじゃん」
 声の主も、顔面パンチを打ち込んだのも、もちろんキュリアです。キュリアは左腕で謙次を抱えていました。
「さて、ちょっと謙次には見せたくないことをするから、悪いけどしばらく自由落下しててね」
「え?」
 謙次はわけがわからないまま首をかしげました。すると、キュリアは左腕から謙次を解放します。
「え!? ちょ、おま、キュリア!?」
 謙次はそのままダークドームめがけて落ちて行きました。

キュリアと謙次 にじゅうはっかいめ!

 謙次はまわりを見回しましたが、あたり一面真っ暗で全く分かりませんでした。
(……どうなっているんだ、これは……!?)
「おっと、突然こんな魔法使っちゃって悪いね、謙次」
 真っ暗やみの中、謙次のすぐ後ろからキュリアの声が聞こえました。
「キュリア!」
「ああ、ごめんごめん、いきなり視界真っ暗にされちゃうと恐いよね。今のは『ダークドーム』っていう魔法なんだ」
「『ダークドーム』?」
「うん。これはあたり一面に闇をもたらす魔法なんだ。闇と言っても、ほぉ~んのごくわずかに光を通しているけどね。当然、普通の人はそんなんじゃ全く見えないよ。ただ、私は『どんなに明くても、どんなに暗くても、ものが普通の明るさで見える』能力を持っているから、少しでも光を通してさえいれば、こんなに真っ暗でも周りが普通の明るさで見えるんだよ」
 つまり、キュリア以外は真っ暗なので何も見えないが、キュリアは個体能力のおかげでこの真っ暗やみの中を普通に見ることができるというわけですね。
「へえ、そうだったのか」
 謙次は話を半分程度は理解したようです。
「そして、『リヴィル』!!」
 何か突然、キュリアが叫びました。
「この体力を全回復する呪文『リヴィル』を使うことで、私は再びノーダメージの状態でガイと戦うことができるってわけだよ」
 真っ暗闇の中、何をやっているかよくわからないキュリアが言いました。
「へえ。……え? 呪文? 魔法じゃないの?」
 あ、ホントだ。うわだっせー。キュリア言い間違いしてやがる~。
「うん。呪文で合ってるよ」
 ……え? 言い間違いじゃなかったの?
「呪文っていうのは、簡単に言えば魔法のかなりはげしい版だね。魔力の他に『詠力[えいりょく]』というのも消費するから、ただ魔法の強い版だとは言えないんだけど」
「……うーん、よくわからないなぁ」
「まあ、魔法と似たようなもので、かつ反則的な効果を持つものが多いやつだと思っておけばいいよ。たとえば、今の『リヴィル』みたいに自分の体力を全回復したりとかね。中には、あたり一面を火の海にしたり、記憶をすべて末梢したりする呪文もあるよ」
「へえ。……なんとなくイメージはつかめた気がしなくもない」
「と、まあそんなわけで、始めようかな」
 このとき、キュリアは身構えていたかもしれませんが、周りがまったく見えないので何とも言いようがありません。
「第2ラウンド、スタートだ」

キュリアと謙次 にじゅうななかいめ!

 複数の『サンダービード』によって発生した砂埃が晴れてきたので、キュリアの状態が謙次にも分かるようになりました。
 見てみると、キュリアはガイの『サンダービード』をかわせなかったみたいで、ボロボロになって倒れていました。
「さーて、キュリアが倒れている間に、謙次に俺の個体能力とかを教えておくか」
 ガイが謙次の近くで言いました。知らないうちに近づかれていたため、謙次は驚いて転びました。
 ガイは説明を始めます。
「俺の個体能力は、『体ではじいたものを音速で飛ばす』能力だ。さっき俺が放った『サンダービード』はこの能力を使った魔法で、雷をまとった鉄球を音速で放つ魔法なんだ」
 なるほど、だから目にもとまらないわけですね。音速で動くものなんか、イノブンの目にはとまりませんもの。
 ガイは説明を続けます。
「そして、この能力は『アナザーミーンズ』を持っている」
「アナザーミーンズ?」
 聞き覚えのない言葉に、謙次は首をかしげます。
「『アナザーミーンズ』ってのは、個体能力のもう一つの使い方のことだ。たとえば、俺の能力で言えば、『自分の体を音速ではじくことも可能』ってのがそれにあたるな。最初キュリアの『グレイヴスラッシャー』をかわした時も、このアナザーミーンズを使ったんだ」
 キュリアが『グレイヴスラッシャー』を使った時、ガイは瞬間移動したかのように上の方へ移動していました。これもガイの個体能力のアナザーミーンズを使って、音速でキュリアの『グレイヴスラッシャー』を避けただけなんですね。
 ちなみにこのとき、ガイがもといた地面はすごくえぐれていました。どうやら音速で動けても、その衝撃をやわらげることはできないみたいですね。
(作者:鋭いな、イノブン。だいたいあってるよ。ガイがこの能力を使ってものをはじくとき、はじかれるものには音速で飛ぶのに必要な衝撃がちゃんといくんだ。ただこのとき、ガイ自身には衝撃がいかないのだけれども)
 ……え? どういうこと? 説明が難しくてわからないよ。
(作者:つまりこの能力を使うと、①物には衝撃が行く。②ガイには衝撃が行かない。ということだ。……これでわかった?)
 なるほど、だいたい分かった。
「ま、そんな能力だ。だから俺は仕事場で通称、『音速のイナズマ』と呼ばれているんだ」
「へえ、速そうですね」
 何気なく謙次は答えます。まあ、音速よりもイナズマの速度の方が速いんですけどね。
「さてキュリア。まさかこれで終わりとか言わないよな?」
 ガイが言うと、キュリアはゆっくりと立ち上がりました。
「もちろん、まだまだこれからだよ……!」
 とは言ったのもの、キュリアは今の攻撃でそうとうダメージを受けたらしく、すごく震えています。見た感じでは、立つのがやっと、と言ったところでしょうか。
「……おいキュリア、そろそろバージョン3になったらどうだ? バージョン2じゃ俺に勝てないことぐらい分かってるだろ?」
 現在、キュリアはバージョン2です。それに対し、ガイはバージョン2でもバージョン3でもありません。バージョン2は普段の状態に比べ、身体能力が2倍に上がります。バージョン2の状態のキュリアを、普段の状態で倒せると言っているガイは相当強いですね。
「うん、分かってるよ。だけど、私がバージョン3になると、ガイは絶対負けるからねぇ」
 よわよわしい声でキュリアは言いました。バージョン3はバージョン2に比べ、身体能力が3倍に上がるので、さすがのガイでも勝てないということですね。
「……つまらねえ」
 ガイは舌打ちして言いました。
「え?」
「お前がそんなんじゃあ俺はつまらねえんだよ! 俺が戦いに来たのは、バージョン2のお前じゃなくてバージョン3のお前なんだよ! 分かったか、このクソババァ!!」
 ……あ。
(作者:言っちゃったね、ガイ)
 言っちゃったな。あの禁句を。
「……なんだってぇ?」
 普段よりも低めの声で、キュリアは言いました。
「そんなに本気の私と戦いたいなら、やってあげるよ。……殺って、ね?」
 そう言ってキュリアはバージョン3に変身しました。そんなキュリアを見て、ガイは笑みを浮かべるとともに、冷や汗をかいていました。
(あとでひどい目に遭うから、本当は禁句を言いたくなかった。……だが、これで本気で戦えるぜ!)
 ガイはそんなことを思っていました。そりゃあ、昨日のマリエルみたいなボロ雑巾にはなりたくないでしょうね、普通。
 キュリアはバージョン3になってすぐ、手のひらをガイに向けました。
「『ダークドーム』!」
 キュリアが叫ぶと、漆黒の球体が手のひらから出てきました。その球体はすぐ巨大化し、トランズ島全体をおおってしまいました。

キュリアと謙次 にじゅうろっかいめ!

 キュリアは謙次のことについてガイに説明してあげました。
「なるほどな、……異世界から飛ばされてきたやつなんて、初めて見たぜ」
 ガイが言いました。キュリアは、
「そういうことだから、しばらく謙次を私の家で暮らさせることにしたんだよ。ね、謙次?」
「ああ」
 謙次はうなずきました。キュリアはガイの方を見てこう言います。
「それにしても、こんな朝っぱらから来るなんてね」
 それに対するガイの問いは、
「なんとなく朝早くに来たかったんだよ。さて、とっとと始めようぜ」
「しょうがないなぁ」
 お、これは勝負を始める感じですね。キュリアは丸焼きを半分残したまま、バージョン2になりました。
「さて、合図は?」
 キュリアが聞きました。ガイは、
「いつでもいいさ。来い!」
「よし、それじゃあ行くよ! 『グレイヴスラッシャー』!!」
 キュリアは昨日マリエルに使ったのと同じ魔法を使いました。黒く巨大な球を放つ魔法です。
 それに対しガイは、地面を軽く蹴りました。するとその地面は激しくえぐれ、同時にガイの姿が消えました。
 消えたガイは、いつの間にか上空に移動していました。
「じゃあ今度はこっちの番だな」
 突然、ガイの手のひらにパチンコ玉サイズの鉄球が現れました。同時に、パチンコ玉が雷をまとい始めました。なお、パチンコ玉の『パ』は言い忘れないでくださいよ。
「『サンダービード』!!」
 ガイはそのパチンコ玉を中指で軽く弾きました。すると雷をまとったパチンコ玉が目にもとまらぬ速さでキュリアに飛んで行きました。
 キュリアはぎりぎりでその『サンダービード』を避けましたが、
「まだまだいくぜ! 『サンダービード』!!」
 ガイは先ほどの『サンダービード』に続けて、4,5発ほど『サンダービード』を発射していました。そのサンダービードは、容赦なくキュリアに襲いかかります。
プロフィール

ケーケー

Author:ケーケー
趣味:自作小説執筆、プログラミング、電子工作
好きなゲーム:ぷよぷよ

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR